ウェブサイトは双方向のメディアであるから企業は積極的に顧客との双方向コミュニケーションを活用しなければならない。

ブログなどのユーザー発信(CGM)が広がる中、企業のウェブサイトは顧客の中での位置を低くしている。先日我々が行ったユーザーのネット行動調査でも、まずは価格比較サイトやオークションサイトあるいはユーザーブログなどで情報を収集し、おまけとして企業サイトで確認するという行動をまざまざと見せつけられた。既にかなりの情報を持った顧客が企業サイトを訪れた時に期待する情報がなければ、顧客は失望する。「お問い合わせ」を探して必要な情報を求める。そんなときに「お問い合わせ」がないサイトは論外だ。あったとしても見つけにくかったり、入力フォームが使いにくかったり、対応が遅かったりしたらその企業の評価は地に落ちる。

企業サイトの企画・運営をしていると、この「お問い合わせ」をはじめとした顧客サポートをどうしていくかが大きなテーマとなる。また顧客にとっては期待するサポート窓口はウェブだけでなく、電話や、店頭もある。したがってコールセンターや営業とも連携しなければならない。さらには顧客中心が叫ばれる昨今はこれらの顧客サポートで収集される顧客の声(VOC)を開発や事業運営にフィードバックして活かしていくことが重要となる。

秋に東京池袋のサンシャインで開催された「CRM2006」に行った。顧客サポートのバックエンドのシステムに関する情報収集が目的だった。ウェブでのサポート、CTIによるコールセンター連携、インハウスの顧客データベースとの連携など要求仕様を満たそうとすると既製品のシステムは難しい。とはいっても、カスタムメイドは投資が大きすぎる。

展示会と共に開催されていた有料セミナーも聴講した。サントリーではコールセンターとマーケティング企画が一体の全社組織となっていて、市場調査も含めてCRMが組織的に行われていた。ハーモニクスと呼ぶバックエンドのシステムが構築されていて、情報共有や、製品改良へフィードバックが行われている。羨ましいかぎりだ。

OMCカードではコールセンターの人事システムに工夫をしてスタッフのモチベーションを高めつつコストダウンを実現していた。

サントリーでもOMCカードでも印象的だったのは、顧客サポートやCRMがまだまだ会社の中では理解度が低いという点だ。戦略的活用の意識がなかったり、顧客の声よりも企業論理が重視されたりという現実だ。前述の二社では、管理職にコールセンターの体験をさせたり、社内研修をしたりと社内の意識改革に力を入れて成果を出していた。

CRMが唱えられて久しいが、これからはウェブサイトを中心に据えたCRMが重要になると痛感している。そのためには、効果的なシステム連携と社内意識改革がキーである。