この逆説的な書名の示すところは、ダニエル・ピンクの「フリーエージェント社会の到来」における「人々は、組織から離れ、独立自営業となり、肉屋と燭台職人の時代になるだろう」から来ている。

イノベーションについて産業革命以前から歴史に沿って紐解いていく。大航海時代にイギリスはなぜスペインを追い抜けたのか?産業革命で鉄道から始まる、鉄鋼、石油、自動車というアメリカの「金ぴか時代」。電信、電話からコンピューターの発明とIT革命。インターネットはGAFAの時代を作り、ビジネスモデルは大きく変わり、ユニコーンが生まれる。そしてAIとブロックチェーン。中国の発展。こうして歴史を追うと大きな流れが見えてくる。結局成功するのはその時代時代に合わせてビジネスモデルを変えることができた企業だ。

日本が取り残されている要因は社会制度にある。企業においても教育においても、システムが時代に合わせて変わっていかなければならなかったのに、成功体験、抵抗勢力が要因となって変革できていない。

今必要なのは、一人ひとりの変化だ。そのためにはまず今起きていることの本質を正確に把握すること。自分にしかできない価値をいかに生み出すかを考えることだ。

「産業革命以前」の未来へ/野口悠紀雄