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横浜国立大学の地域連携推進機構が主催した「オープンイノベーションフォーラム2019」に参加した。会場は横浜国立大学附属図書館のメディアホール。横浜国立大の敷地は広大。緑の多い良い環境だ。平日の昼間だが、Facebookの告知だけで80名ぐらいの人々が集まった。


東京都の人口は1400万人弱、大阪市は273万人、横浜市は374万人、169万世帯(2019年1月現在)。横浜は人口の割にはひとくくりに扱われることが多いという。


横浜市は行政主導により地域コミュニティが早くから進められてきた。1980年代から地域マップが作られ、グリーンマトリックス政策で、地域の緑、風土を戦略的に残してきた。地域拠点として、40の地区センター、80のコミュニティハウス地域ケアプラザを中学校とほぼ同数作ってきた。その運営はアクティブシニアと専業主婦が無償のボランティアで支えてきた。


横浜市の人口も2019年をピークに減少に転ずる。特に15歳から64歳の生産年齢人口は2038年には35万人も減少する。女性とシニアの活躍がますます期待される。


2000年代から地域のボランティア活動が疎になってきた。今まで活躍してきた高齢者は老いてきた。主婦も無償では動かなくなった。つまり施設はあるが、運営が時代に合わなくなってきたのだ。


そこで行政は、これからの政策形成として、

1)オープンデータで課題を見える化し、

2)フューチャーセッションの手法で調査し、

3)住民に近いリビングラボでニーズ、課題から提案をつくり、

4)地元の企業や新規起業により解決していこう

というオープンイノベーション戦略を考えているという。ていのいいカタカナばかりが並んでいるが、要は行政主導では地域課題が解決できなくなっているということだ。


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横浜市では地域の活動の中心としてリビングラボを推進しようとしている。リビングラボとは、実際に人々が生活する街のなかで社会実験を重ねるオープンイノベーションの取り組みで、10〜15年前から、欧州、特に北欧が先導しEUや各国政府が支援している、ユーザーや市民参加型の共創活動だそうだ。


しかし日本のリビングラボの定義は曖昧だ。横浜では地元企業が中心になって、地域のコミュニティを作り出し始めている。それを横浜市の職員がリビングラボと名付けて、繋ぎ始めている。行政主導ではないので、大きく動かすのは難しい。小さな拠点活動から進めようとしている。


今日は3つの事例がリビングラボの主宰者から紹介された。人と人のつながり、笑顔を作るのがまちづくり。その中で企業の場所を提供したりして、コミュニティを作っているという。空き家活性化を業務として進めており、二階屋の一階に地元の人が自由に使えるコミュニケーションスペースをつくり、二階を有料のコワーキングスペースにして収益を得て回している。


情報伝達の仕方が難しくなっているそうだ。地域の回覧も市や区の広報紙も弱くなってきた。知らせないと人が集まらないし、一方で、知らないと怒る人もいるという。


リビングラボを横串で刺す仕組みが必要だろう。それをしていくのは行政だ。メディアプラットフォーム化。地域ケアプラザを地域コーディネーターにして、地域の企業と連携させていきたいという。


2019/1/10