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地域音楽コーディネーターオンライン講座11 月が開催された。今回は愛知県長久手市の「長久手市文化の家」からの養成講座の配信。私は目黒の公益財団法人音楽文化創造のオフィスでZoomプロデューサーを務めた。


講師は名古屋芸術大学の梶田美香教授と助手でクラリネット奏者の中村由加里さん、長久手市文化の家の広中省子館長、生田創事務局長の4人。


10時からお昼休み1時間をはさんで17時までのオンラインではなかなかハードな講座。15時からの2時間はZoomのブレイクアウトルームを使ったワークショップ。参加者は56人に分かれて5W1H"Whom""How much"を足した6W2Hを明確にして企画案を練り、最後に発表した。


今回印象的だったのは、文化芸術の役割は何かという話であった。梶田さんも広中さんも文化芸術の役割を語った。



文化芸術の役割


コロナ禍の中で文化芸術の役割が明確になってきた。


ドイツのメルケル首相が202059日に行った演説では、「連邦政府は芸術支援を優先順位リストの一番上に置いている」とし、文化を重視する姿勢を強調した。


芸術支援は最優先事項。ドイツ・メルケル首相が語った「コロナと文化」

https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21933


その理由は芸術文化がドイツの産業の中で自動車産業、機械産業の次に大きな産業であるからだ。


新型コロナで変わったドイツの日常。それでも文化・芸術への支援が手厚い理由

https://drive.media/posts/26588


一方日本では、文化庁が、2001年に文化芸術基本法を制定し、その前文には、

「文化芸術を創造し,享受し,文化的な環境の中で生きる喜びを見出すことは,人々の変わらない願いである。また,文化芸術は,人々の創造性をはぐくみ,その表現力を高めるとともに,人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し,多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり,世界の平和に寄与するものである。」

と書いてある。


文化芸術基本法

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/kihon/geijutsu_shinko/kihonho_kaisei.html


しかしながら、日本では文化芸術の地位は低い。コロナ禍でドイツがいち早くアーティスト支援を打ち出したが、日本は6月になってやっと支援金を出した。残念ながらまだまだ、文化芸術は一部の人の個人的な娯楽であり、贅沢品だという考え方があるのだ。


ゲストで挨拶をした名古屋芸術大学の大内孝夫教授は、日本で文化芸術の優先度が低いのはドイツのように主要な産業になっていないからだという。


とはいえ、文化芸術基本法にあるように、文化芸術は人が幸せに生きるために必要不可欠なものだ。



地域音楽コーディネーターの役割


だからこそ、地域音楽コーディネーターの役割は重要になる。自分達の住む地域で、音楽で人々を幸せにする。そのために地域の人たちを繋ぎ、楽しい企画をおこし、継続のために助成金や寄付金で事業化するのだ。


広中さんの講義の最後エールが心に響く。

「地域に多様な音楽文化の活動をひろげ、その音楽文化活動に多くの方が参加することで、地域に音楽でつながる仲間を生み、新しいかかわりが生み出されます。
それは、現代社会に共通する「つながり・かかわり合いが薄い」という社会課題の解決につながる道です。豊かな地域社会の形成に文化芸術で寄与されることを願っています。どうぞ誇りと自信を持って、この道を切り拓いていって下さい。」


私は地域音楽コーディネーターの皆さんの活躍を支援する仕事で、貢献したい。


● 地域音楽コーディネーター

https://www.onbunso.or.jp/regional-music-coordinator


2020/11/29